選択肢１ 宅建業者A社は、宅地建物取引業者である買主B社との間で売買契約（代金3,000万円）を締結したが、B社は支払期日までに代金を支払うことができなかった。A社は、B社の債務不履行を理由とする契約解除を行い、契約書の違約金の定めに基づき、B社から1,000万円の違約金を受け取った。

【答え】違反しない

【解説】
８種規制は、売主が宅建業者で、かつ、買主が宅建業者以外の者である場合に適用されます。つまり、宅建業者同士の取引では適用されません。本肢は宅建業者間の取引なので、損害賠償額の予定等の制限も適用されないので、「損害賠償額の予定および違約金の合計が代金の額の10分の２を超えて特約」しても無効とはなりません。したがって、本肢のように、違約金を1000万円（代金の10分の2＝600万円を超えている）としても宅建業法違反とはなりません。

選択肢２ 宅建業者A社は、宅地建物取引業者でない買主Cとの間で、割賦販売の契約をしたが、Cが賦払金の支払を遅延した。A社は20日の期間を定めて書面にて支払を催告したが、Cがその期間内に賦払金を支払わなかったため、契約を解除した。

【答え】違反する

【解説】
宅地建物取引業者は、売主として割賦販売（分割払い）の契約について、買主が賦払金の支払の義務が履行されない場合、30日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除することができません。したがって、20日の期間を定めて書面で催告しても、契約解除はできないので、本肢は宅建業法違反です。

選択肢３ 宅建業者A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結（代金3,000万円）し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。

【答え】違反しない

【解説】
宅地建物取引業者が、自ら売主として割賦販売を行なった場合、代金の額の10分の３を超える額の金銭の支払を受けるまでは、買主に所有権移転登記をしないことができます。一方、代金の額の10分の３を超える額を受け取る場合、買主に所有権移転登記をしなければなりません。本肢は代金が3000万円なので、代金の額の10分の３は「900万円」です。したがって、900万円を超える額を受領するまでは、所有権を売主業者にとどめておくことができます。よって、本肢の「Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた」という記述は宅建業法違反ではありません。

選択肢４ 宅建業者A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、目的物の種類又は品質に関する契約不適合責任について、「契約不適合に基づく契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年以内に通知しなかったときはできない」とする旨の特約を定めていた。（改）

【答え】違反しない

【解説】
８種規制は、売主が宅建業者で、かつ、買主が宅建業者以外の者である場合に適用されます。つまり、宅建業者同士の取引では、８種制限（担保責任の特約制限）は適用されません。契約不適合責任（担保責任）を負う期間についても８種規制の一つなので、宅建業者同士では適用されません。よって、本肢の「契約不適合に基づく契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年以内に通知しなかったときはできないとする旨の特約」は有効です。
ちなみに、契約不適合責任の通知期間については、その目的物の「引渡しの日から２年」より長い期間で設定する特約をする場合は、特別に有効となるが、原則、民法に規定する「契約不適合を知ってから１年」より短い期間で設定することは、買主に不利となる特約となるので、無効となります。

まとめ 本問は、８種規制の内容である「割賦販売契約の解除等の制限（選択肢２）」「割賦販売契約の所有権留保の禁止（選択肢３）」が出題されています。あまり出題されないですが、重要な内容なので解けるようにしておきましょう！