選択肢ア 宅建業者Ａは、マンションを分譲するに際して案内所を設置したが、売買契約の締結をせず、かつ、契約の申込みの受付も行わない案内所であったので、当該案内所に法第50条第１項に規定する標識を掲示しなかった。 

【答え】違反する

【解説】
案内所を設置した場合、案内所を設置した宅建業者は、その案内所に必ず、標識は掲示しなければなりません。契約の申込みや締結を行うか否かは関係ありません。どちらの場合でも案内所には標識が必要です。したがって、宅建業者Ａは宅建業法違反です。

選択肢イ 宅建業者Ａは、建物の売買の媒介に際し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買は成立しなかった。 

【答え】違反する

【解説】
手付けについて貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は禁止されています。本肢の「手付の貸付ける行為」は禁止行為に該当するので、たとえ、売買が成立しなかったとしても、その行為を行った時点で宅建業法違反となります。そして、手付の貸与等の中で頭に入れるべき内容は下記４つです。

• 現実に宅建業者が手付金を貸し付ける行為
• 約束手形によって手付金を受領する行為
• 手付金の分割払いを認める行為
• 手付金を契約後に受領することとし、契約締結時に受領しない行為（手付金の後払い）

選択肢ウ 宅建業者Ａは、法第49条の規定によりその事務所ごとに備えるべきこととされている業務に関する帳簿について、取引関係者から閲覧の請求を受けたが、閲覧に供さなかった。 

【答え】違反しない

【解説】
帳簿については、取引関係者から請求があったとしても閲覧させる義務はありません。取引関係者から請求があった場合に閲覧させる義務があるのは、従業者名簿です。この違いは非常に重要です！ 帳簿には従業者名簿のような閲覧させる義務はないので注意しましょう！本試験で混乱しないように、個別指導ではどのように理解するかまで解説します！

選択肢エ 宅建業者Ａは、自ら売主となるマンションの割賦販売の契約について、宅地建物取引業者でない買主から賦払金が支払期日までに支払われなかったので、直ちに賦払金の支払の遅延を理由として契約を解除した。 

【答え】違反する

【解説】
本肢は、売主が宅建業者で買主が宅建業者ではないので8種制限（割賦販売契約の解除等の制限）が適用されます。割賦販売契約において、買主が賦払金の支払の義務が履行しないときは、30日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除することができません。 つまり、賦払金の支払いがないからといって、直ちに契約を解除することはできません。 よって、本肢は、宅建業法違反です。

まとめ 本問は、案内所と業務上の禁止事項、８種制限の３つの分野から出題されています。複数分野から出題されても、基本的な問題なので、必ず解けるようにしましょう！