選択肢１ Ａは、自己所有の自動車を100万円で売却するつもりであったが、重大な過失によりＢに対し「10万円で売却する」と言ってしまい、Ｂが過失なく「Ａは本当に10万円で売るつもりだ」と信じて購入を申し込み、ＡＢ間に売買契約が成立した場合 、錯誤取消しはできるか。

【答え】錯誤取消しできない

【解説】
表意者Ａが、錯誤に基づく取消しするための要件として、重過失がないことがあります。ただし、例外として、重過失があっても取消しできる場合があります。それは、（１）相手方Ｂが悪意もしくは重過失の場合と（２）相手方Ｂも同一錯誤に陥った場合です。本肢は、（１）にも（２）にも該当しないので、原則どおり、表意者Ａは重過失があるので、錯誤取消しできません。

選択肢２ Ａは、自己所有の時価100万円の壺を10万円程度であると思い込み、Ｂに対し「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言ったところ、ＢはＡの言葉を信じ「それなら10万円で購入する」と言って、ＡＢ間に売買契約が成立した場合、錯誤取消しはできるか。 

【答え】錯誤取消しできない

【解説】
表意者Ａは、「自己所有の時価100万円の壺を10万円程度であると思い込み」をしています。思い込みによる意思表示は、「重過失がある」と判断します。よって、選択肢1の通り、原則どおり、表意者Ａは重過失があるので、錯誤取消しできません。本肢は、例外に当たらないの？と思った方もいるかもしれませんが、それは問題文の理解ができていない証拠です。そのため、この点は、個別指導で解説します！

選択肢３ Ａは、自己所有の時価100万円の名匠の絵画を贋作だと思い込み、Ｂに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と言ったところ、Ｂも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」と言って、ＡＢ間に売買契約が成立した場合 、錯誤取消しはできるか。

【答え】錯誤取消しできる

【解説】
意者Ａが、錯誤に基づく取消しするための要件として、重過失がないことがあります。ただし、例外として、重過失があっても取消しできる場合があります。それは、（１）相手方Ｂが悪意もしくは重過失の場合と（２）相手方Ｂも同一錯誤に陥った場合です。本肢は、選択肢２の通り、表意者Ａは、思い込みによる意思表示をしているので、表意者Ａに重過失があると判断します。ただし、相手方Ｂも同じ勘違いをしているので、例外の（２）相手方Ｂも同一錯誤に陥った場合に該当するので、表意者Ａは錯誤取消しができます。

選択肢４ Ａは、自己所有の腕時計を100万円で外国人Ｂに売却する際、当日の正しい為替レート（1ドル100円）を重大な過失により1ドル125円で計算して「8,000ドルで売却する」と言ってしまい、Ａの錯誤について過失なく知らなかったＢが「8,000ドルなら買いたい」と言って、ＡＢ間に売買契約が成立した場合 、錯誤取消しはできるか。

【答え】錯誤取消しできない

【解説】
意者Ａが、錯誤に基づく取消しするための要件として、重過失がないことがあります。ただし、例外として、重過失があっても取消しできる場合があります。それは、（１）相手方Ｂが悪意もしくは重過失の場合と（２）相手方Ｂも同一錯誤に陥った場合です。本肢は、選択肢２の通り、表意者Ａは、思い込みによる意思表示をしているので、表意者Ａに重過失があると判断します。一方、相手方Ｂは、Ａの勘違いについて「善意無過失」です。よって、例外（１）には該当しません。 よって、表意者Ａは錯誤取消しができないです。

まとめ 本問は錯誤に関する基本問題です。原則と例外が頭に入れておくことは最低限必要です。さらに具体例から、法律を適用させる作業まで行わないといけないので、理解学習勉強法を使っていない方は、得点できない可能性が高いです。そのため単に法律の条文を覚えるだけでなく、この法律はどういうことを言っているのかまで理解しておくようにしましょう！