選択肢１ Ａ所有の甲土地につき、令和2年7月1日にＢとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約（以下この問において「本件契約」という。）が締結された。
Ｂは、借地権の登記をしていなくても、甲土地の引渡しを受けていれば、甲土地を令和2年7月2日に購入したＣに対して借地権を主張することができる。 

【答え】誤り

【解説】
本問はすべて、建物所有を目的とした土地の賃貸借契約です。そのため、借地借家法の借地権のルールが適用されます。そして、借地権の対抗要件は、（１）借地権の登記、または（２）借地上建物の登記のいずれかです。本肢のように、甲土地の引渡しを受けただけでは対抗要件を備えたことにはなりません。よって、Ｂは、甲土地の新所有者Ｃに対して借地権を対抗することはできません。

選択肢２ Ａ所有の甲土地につき、令和2年7月1日にＢとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約（以下この問において「本件契約」という。）が締結された。
本件契約で「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合には、甲土地の借賃が近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときであっても、当該期間中は、ＡもＢも借賃の増減を請求することができない。 

【答え】誤り

【解説】
「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨とは、「増減」と書かれているので、（１）「一定期間は借賃の増額を行わない」旨と、（２）「一定期間は借賃の減額を行わない」旨の２つを指しています。普通借地権においては、「賃料を増額しない旨の特約」は有効ですが、借主に不利となる「賃料を減額しない旨の特約」は無効です。よって、増額請求はできませんが、減額請求はできます。したがって、「ＡもＢも借賃の増減（増額・減額）を請求することができない」は誤りです。本肢は対比ポイントがあるので、個別指導では、対比勉強法を使って解説します！

選択肢３ Ａ所有の甲土地につき、令和2年7月1日にＢとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約（以下この問において「本件契約」という。）が締結された。
本件契約で「Ｂの債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、ＢはＡに対して建物買取請求権を行使することができない」旨を定めても、この合意は無効となる。 

【答え】誤り

【解説】
「賃借人Ｂの債務不履行により借地契約が解除された場合」とは、例えば、賃借人Ｂが地主Ａに対して、賃料を払わなかった場合です。この場合、賃借人Ｂを保護する必要性は低いため、建物買取請求権を行使することはできません。よって、「債務不履行で解除された場合、建物買取請求権を行使できない」旨の特約は有効です。したがって、「無効となる」は誤りです。上記のように理解をしながら勉強する勉強法が「理解学習勉強法」です。単に「債務不履行で解除された場合、建物買取請求権を行使できない」と覚えるだけでは、本試験で頭が真っ白になり、失点の原因になります。そうならないために、個別指導では、理解学習勉強法を使って解説します！

選択肢４ Ａ所有の甲土地につき、令和2年7月1日にＢとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約（以下この問において「本件契約」という。）が締結された。
ＡとＢとが期間満了に当たり本件契約を最初に更新する場合、更新後の存続期間を15年と定めても、20年となる。 

【答え】正しい

【解説】
普通借地権の更新をする場合、初回更新時の存続期間（契約期間）は20年以上で定める必要があり、2回目以降の更新時では存続期間10年以上で定める必要があります。これより短い期間で定めた場合、初回更新では自動的に20年となり・2回目以降の更新では自動的に10年となります。本肢は、最初に更新する場合（初回更新）なので、15年と定めても無効で、存続期間20年となります。

まとめ 本問は、借地借家法における借地権に関する問題ですが、民法の土地の賃貸借との違いは、はじめに分かるようにしておきましょう。その後、本問の選択肢の内容のような細かいルールを頭に入れていくと、効率的な勉強が可能です。