選択肢ア Ａは、Ｂとの間で建築工事完了後の建物に係る売買契約（代金3,000万円）において、「Ａが契約の履行に着手するまでは、Ｂは、売買代金の１割を支払うことで契約の解除ができる」とする特約を定め、Ｂから手付金10万円を受領した。この場合、この特約は有効である。 

【答え】誤り

【解説】
売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合、８種制限が適用されます。解約手付のルールは8種制限の１つです。解約手付のルールとは、売主が契約の履行に着手するまでは、買主は手付金を放棄して売買契約を解除できる。これより買主に不利な特約をした場合、無効となるというルールです。本肢では手付金は10万円なので、10万円だけ放棄すれば解除できるにも関わらず、特約を見ると「売買代金の１割（300万円）を支払わなければ解除ができない」となっています。これは、買主に不利です。したがって、無効です。

選択肢イ Ａは、Ｂとの間で建築工事完了前の建物に係る売買契約（代金3,000万円）を締結するに当たり、保険事業者との間において、手付金等について保証保険契約を締結して、手付金300万円を受領し、後日保険証券をＢに交付した。 

【答え】誤り

【解説】
宅建業者が、未完成物件（建築工事完了前の建物）を売却し、手付金等を受領する場合、原則、手付金等の保全措置が必要です。ただし、下記2つのいずれかに該当するときは、例外として、保全措置を講じることなく買主から手付金等を受領できます。

1. 手付金や中間金の額の合計が、代金の5％以下の場合、かつ、1000万円以下の場合
2. 買主へ所有権移転登記をした場合

本肢は、代金の5％以上の手付金を受領するので、例外の1、2どちらも該当しません。したがって、原則通り、保全措置が必要です。本肢では、保証保険契約を使って保全措置を講じていますが、この場合、手付金を受領する前に保険証券を買主Ｂに交付する必要があります。本肢は、保険証券を受領後に交付しているので違反となります。

選択肢ウ Ａは、Ｂとの間で建築工事完了前のマンションに係る売買契約（代金3,000万円）を締結し、その際に手付金150万円を、建築工事完了後、引渡し及び所有権の登記までの間に、中間金150万円を受領したが、合計額が代金の10分の１以下であるので保全措置を講じなかった。 

【答え】誤り

【解説】
手付金等の保全措置の対象となっている手付金等とは、契約締結日後、引渡しまでに支払われる金銭を指します。つまり、手付金だけでなく中間金についても、保全措置の対象です。そして、未完成物件の場合、手付金等について代金の5％もしくは1000万円を超える手付金等を受領するとき、保全措置が必要です。よって、本肢に当てはめると、150万円（代金の5％）を超える手付金等を受領する場合、保全措置が必要となります。。ここで問題をみると、「①手付金：150万円」「②中間金：150万円」を受領する流れとなっています。 つまり、①手付金を受領する場合は保全措置は不要ですが、その後、②中間金を受領する場合、150万円（代金の5％）を超えるので、中間金受領「前」に、手付金等の保全措置の合計300万円の保全措置を講じなければなりません。本肢は「保全措置を講じなかった」と書いてあるので誤りです。

まとめ手付金等の保全措置については、理解しないとひっかけ問題にひっかかるので、理解しましょう！