選択肢ア 引渡前に、宅建業者A社は、代金に充当される中間金として100万円を宅建業者でないBから受領し、その後、本件手付金と当該中間金について法第41条の2に定める保全措置を講じた。

【答え】違反する

【解説】
売主が宅建業者で買主が非宅建業者の場合において、完成物件の売買契約の締結するとき、代金の10％を超え、もしくは1000万円を超える手付金等（手付金と中間金等）を受領するのであれば、受領前に、手付金等の保全措置を講じなければなりません。
本肢は、中古マンションの売買であり、完成物件です。そして、「2,000万円の物件について、解約手付金200万円と中間金100万円の合計300万円を受領した後に保全措置を講じた」と記載されています。代金2000万円の10％は200万円です。つまり、代金の10％を超えるので、中間金を受領する前に保全措置が必要です。よって、本肢は、中間金受領後に保全措置を講じているので宅建業法に違反します。

選択肢イ 本件売買契約締結前に、宅建業者A社は、宅建業者でないBから申込証拠金として10万円を受領した。本件売買契約締結時に、当該申込証拠金を代金の一部とした上で、A社は、法第41条の2に定める保全措置を講じた後、Bから本件手付金を受領した。

【答え】違反しない

【解説】
本肢は、選択肢１の類題です。考え方は選択肢１と同じです。まず、申込証拠金10万円について、代金の一部とするのであれば、「手付金等」に含まれます。そのため、申込証拠金10万円受領後、手付金200万円を受領する場合、「手付金等」は、210万円となります。そのため、2000万円の10％である200万円を超えるため、手付金200万円を受領する前に保全措置を講ずる必要があります。本肢は、保全措置を講じた後に手付金を受領しているので、宅建業法には違反しません。

選択肢ウ 宅建業者A社は、本件手付金の一部について、宅建業者でないBに貸付けを行い、本件売買契約の締結を誘引した。

【答え】違反する

【解説】
手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は、宅建業法で禁止されています。そして、手付金を貸すことにより契約を誘因する行為は、これに該当するので禁止です。つまり、宅建業法違反です。

まとめ 本問は、手付金に関する問題です。「８種制限の手付金等の保全措置」と「手付について信用の供与の禁止」は、宅建試験でも頻出です。どちらも頭に入れておきましょう！