2023-07-18

宅建過去問平成23年（2011）年問5 問題解答と解説付き

ＡがＢに対して1,000万円の代金債権を有しており、Ａがこの代金債権をＣに譲渡した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

ＡＢ間の代金債権には譲渡禁止特約があり、Ｃがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合には、Ｃはこの代金債権を取得することはできない。
ＡがＢに対して債権譲渡の通知をすれば、その譲渡通知が確定日付によるものでなくても、ＣはＢに対して自らに弁済するように主張することができる。
ＢがＡに対して期限が到来した1,000万円の貸金債権を有していても、ＡがＢに対して確定日付のある譲渡通知をした場合には、ＢはＣに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができない。
ＡがＢに対する代金債権をＤに対しても譲渡し、Ｃに対する債権譲渡もＤに対する債権譲渡も確定日付のある証書でＢに通知した場合には、ＣとＤの優劣は、確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がＢに到着した日時の先後で決まる。

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解答と解説

【解答】３

選択肢１ＡＢ間の代金債権には譲渡禁止特約があり、Ｃがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合には、Ｃはこの代金債権を取得することはできない。

【答え】正しい

【解説】

債権に譲渡禁止特約がついていても、譲受人が善意無重過失であれば、譲受人は有効に債権を取得できます。本肢では譲受人Ｃが重過失なので有効に債権を取得することはできません。

選択肢２ＡがＢに対して債権譲渡の通知をすれば、その譲渡通知が確定日付によるものでなくても、ＣはＢに対して自らに弁済するように主張することができる。

【答え】正しい

【解説】

債権譲渡は、譲渡人が債務者に通知すれば、譲受人は債務者本人に対抗できます。本人に対して対抗する場合、確定日付でなくてもよいです。
確定日付による証書によって、通知をしないと対抗できないのは、第三者との関係の場合です。例えば、債権がＣとＤに二重譲渡されたときです。この場合、ＣがＤに対抗するためには、確定日付による証書による通知が必要です。

選択肢３ＢがＡに対して期限が到来した1,000万円の貸金債権を有していても、ＡがＢに対して確定日付のある譲渡通知をした場合には、ＢはＣに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができない。

【答え】誤り

【解説】

本誌は上図のように、債権譲渡の通知前から債務者Ｂが債権者Ａに対して反対債権を持っていた状況です。
この場合、通知前から持っていた反対債権であれば、弁済期が到来していなくても、弁済期が到来して時点で相殺適状になった時点で、債務者Ｂは代金債権と貸金債権との相殺を主張できます。

選択肢４ＡがＢに対する代金債権をＤに対しても譲渡し、Ｃに対する債権譲渡もＤに対する債権譲渡も確定日付のある証書でＢに通知した場合には、ＣとＤの優劣は、確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がＢに到着した日時の先後で決まる。

【答え】正しい

【解説】

譲受人Ｃと譲受人Ｄは、互いに第三者です。債権譲渡について譲受人が第三者に対抗するためには、債権譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってする必要があります。今回、債権譲渡の通知は、いずれも確定日付のある証書による通知なので、お互いが対抗要件を備えています。そして、どちらも確定日付のある証書である場合、どちらが優先するかというと、確定日付のある通知の到達した日時の早い方が優先します。よって、本肢の「確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がＢに到着した日時の先後で決まる」は正しいです。