選択肢１ 建物の用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更その他の事情の変更により、現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者 間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

【答え】正しい

【解説】
この問題は条文そのままですが、問題文の内容自体分かりづらい内容だと思います。そのため、具体例を出して解説します。
たとえば、「商業施設建設のために土地を貸す」ことを借地条件としていて土地を貸していた。しかし、その後、法令が変わり、「商業施設を建てることができず、住居しか建てられない」こととなった場合、借地権者と地主との間で協議が調輪ないときは、裁判所が、「住居を建設してもよい」という風に法令に合わせて、借地条件を変更することができるということです。

選択肢２ 賃貸借契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて残存すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

【答え】正しい

【解説】
契約更新後に、借地権者が残存期間（契約期間）を超えて残存すべき建物を新たに築造する場合、地主の承諾が必要です。しかし、やむを得ない事情があるにもかかわらず、地主が承諾してくれない場合があります。この場合、借地権者の申立てにより、裁判所が地主の代わりに許可を与えることができます。この許可により、借地権者は、建物を築造（建築）することができます。

選択肢３ 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

【答え】誤り

【解説】
借地権者が、借地上の建物を第三者に譲渡しようとしている。借地上の建物を譲渡する場合、地主の承諾が必要です。しかし、建物譲受人（第三者）が賃借権を取得しても借地権設定者（地主）に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者（地主）がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。申立ては第三者が行うものではないので注意しましょう！また、借家の転貸の場合、裁判所の許可制度はないので、この点も注意が必要です！

選択肢４ 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡 を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

【答え】正しい

【解説】
第三者が、借地上の建物を競売又は公売により取得した場合、土地を利用するためには、地主の承諾が必要です。しかし、その第三者（競落者）が賃借権を取得しても借地権設定者（地主）に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。 競売で建物を取得したにも関わらず、土地の賃借権を取得できないことで、地主から、取り壊せ！っと言われたら、社会経済上の損失もありますし、第三者も困ります。そのため、裁判所による代諾許可制度があります。

まとめ 本問はすべて似たような内容です。そのため整理して頭に入れておきましょう！借地権が譲渡される場合、地主の承諾が必要であり、地主が承諾しない場合、裁判所が地主の代わりに許可してくれる制度があることを頭に入れておきましょう！