A所有の居住用建物(床面積50㎡)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第 39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この問において「本件普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃借人が造作買取請求権を行使できない旨の特約は、有効である。
- 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができる。
- 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
- 本件普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人は期間の途中で解約を申し入れることができる。
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3
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解答と解説
【解答】3
選択肢1 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃借人が造作買取請求権を行使できない旨の特約は、有効である。
【答え】正しい
【解説】
普通建物賃貸借契約、定期建物賃貸借ともに、造作買取請求権は、当事者間の特約で排除することができます。 よって、本肢は正しいです。「造作買取請求権」とは、建物賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加した造作を、借家契約終了の際に、賃貸人に対して時価で買取請求出来る権利のことを指します。
選択肢2 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができる。
【答え】正しい
【解説】
普通建物賃貸借契約、定期建物賃貸借ともに、賃料の改定についての特約が定められていない場合であっても、経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができます。 よって、本肢は正しいです。
一方、賃料の改定について特約がある場合、つまり、建物賃料について「増額しない特約」や「減額しない旨の特約」がある場合、ルールが異なります。
一定期間、増額しない旨の特約がある場合、普通建物賃貸借契約、定期建物賃貸借ともに、その期間内においては、増額請求はできません。つまり特約は有効です。
一方、一定期間、減額しない旨の特約がある場合、普通建物賃貸借については、賃借人に不利になるので、特約自体無効となり、減額請求はできます。しかし、定期建物賃貸借の場合、特約は有効となり、減額請求はできません。

選択肢3 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
【答え】誤り
【解説】
定期建物賃貸借契約は、契約前に「更新しない旨」が記載された書面を賃借人に交付し、説明しなければ、無効となります。交付だけでは、更新しない旨は有効とはならないので、誤りです。
選択肢4 本件普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人は期間の途中で解約を申し入れることができる。
【答え】正しい
【解説】
普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があります。言い換えると、「中途解約できる旨」の記載がない場合は、契約通り、期間内に解約はできないこととなります。 一方、定期建物賃貸借契約では、居住用建物で居住部分が200㎡未満の場合に限り、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があるなどの一定の要件を満たせば、建物の賃借人は、建物の賃貸借の中途解約の申入れができます。

まとめ 本問は、普通建物賃貸借と定期建物賃貸借の違いと問う問題です。非常に重要な問題なので解けるようにしておきましょう!
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