選択肢１ 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することができる。

【答え】誤り

【解説】
造作とは、簡単に言えば、畳やふすま、エアコンなど、借主が建物に設置した設備です。そして、借主が、オーナー（貸主）の承諾を得て、造作した場合、建物賃貸借契約が修了する際に、造作を買い取ってもらえる権利があります。これを造作買取請求権といいます。そして、借主がエアコンを買い取ってもらえる権利があるにも関わらず、オーナーがその代金を支払わない場合、借主は「建物を明渡ません！」と主張できるか？というのが本問の質問内容です。
「建物を留置する」＝「建物を明け渡さずに使い続ける」と言うことです。 この点について法律では、造作買取請求権を借主が持っていたとしても、借主は、建物を留置することはできない（明渡を拒むことができない）となっています。よって、本肢は「当該建物を留置することができる」が誤りです。正しくは「当該建物を留置することができない」となります。この問題は理解すべき問題なので、個別指導で解説します！無料講座でも、理解学習の一部を解説しているので、ぜひ、参考にしてみてください！

選択肢２ 不動産が二重に売買され、第２の買主が先に所有権移転登記を備えたため、第１の買主が所有権を取得できなくなった場合、第１の買主は、損害賠償を受けるまで当該不動産を留置することができる。

【答え】誤り

【解説】
不動産が二重に売買されているので、二重譲渡です。二重譲渡がなされると、先に登記をした方が所有権を主張できます。つまり、本肢の場合、先に登記をした者は、第２買主なので、第２買主は、第１買主に対して所有権を主張でき、第２買主が、第１買主に対して建物の引渡し請求をしてきた場合、第１買主は、建物を留置することはできず、建物を明渡さないといけません。 そして、この場合、第１買主は、売主に損害賠償請求ができます（判例）。本肢は「第１の買主は、損害賠償を受けるまで当該不動産を留置することができる」となっているので誤りです。正しくは、「損害賠償を受けていなくても、不動産を留置することができない」となります。

選択肢３ 建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで当該建物を留置することができる。

【答え】誤り

【解説】
建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除された後、賃借権がないことを知りながらその建物を占有する間に有益費を支出しても建物を留置できません。なぜなら、すでに契約解除されているので、建物賃借人は不法占有者だからです。
不法に占有して、建物の古いトイレを新しいトイレに変えたからその有益費を払うまで建物を明渡しません！というのはおかしいです。

選択肢４ 建物の賃借人が建物に関して必要費を支出した場合、賃借人は、建物所有者ではない第三者が所有する敷地を留置することはできない。

【答え】正しい

【解説】
建物の賃借人が建物に関して必要費を支出した場合、建物を留置することはできます。
これは、建物賃借人と建物賃貸人との間の債権債務の話で、建物の下の土地（底地）の所有者である第三者には関係ない話です。つまり、建物賃借人は、建物所有者ではない第三者（地主）が所有する敷地までは留置することはできません。よって、本肢は正しいです。しかし、実際は、建物賃借人は、土地を利用していますよね？これは少し難しい内容なので、個別指導で解説します。

まとめ 本問は選択肢４のみ難しいですが、それ以外は解けないといけない問題です。そのため消去法を使って正解は導けます。理解していない人は、この問題で失点してしまいます。これが合否の分かれ目になります。理解学習勉強法を実践すれば、このような合否の分かれ目となる問題も得点できるようになるので、ぜひ、理解学習勉強法を実践していきましょう！理解学習勉強法は、個別指導で解説します。理解学習勉強法の一部は無料講座でも、お伝えしているので参考にしてみてください！