2023-10-26

宅建過去問平成27年（2015年）問3 問題解答と解説付き

ＡＢ問で、Ａを貸主、Ｂを借主として、Ａ所有の甲建物につき、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

Ｂが死亡した場合、①では契約は終了しないが、②では契約が終了する。
Ｂは、①では、甲建物のＡの負担に属する必要費を支出したときは、Ａに対しその償還を請求することができるが、②では、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。
ＡＢ間の契約は、①も②も諾成契約である。（改）
ＡはＢに対して、甲建物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないとき、①では担保責任を負う場合があるが、②では担保責任を負わない。（改）

♪下記より解答を選んで下さい

正解！

不正解！

もう一度解答する

▼ 解答と解説はこちら

解答と解説

【解答】４

選択肢１ＡＢ問で、Ａを貸主、Ｂを借主として、Ａ所有の甲建物につき、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合について、Ｂが死亡した場合、①では契約は終了しないが、②では契約が終了する。

【答え】正しい

【解説】
宅建過去問平成27年（2015年）問3-1：借主が死亡した場合の賃貸借と使用貸借の対比表です。
＜①賃貸借契約＞
建物賃貸借契約の場合、賃借人Ｂが死亡しても賃貸借契約は終了せず、賃借権は相続人に承継されます。

＜②使用貸借契約＞
使用貸借契約の場合、借主Ｂが死亡すれば、使用貸借契約は終了します。よって、本肢は正しいです。本試験では、関連ポイントが良く出題されます。そのため、関連ポイントを対比して頭に入れておきましょう！関連ポイントについては、個別指導で解説します！無料講座でも、関連ポイントの一部を解説しているので、ぜひ、ご利用ください！

選択肢２ＡＢ問で、Ａを貸主、Ｂを借主として、Ａ所有の甲建物につき、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合について、Ｂは、①では、甲建物のＡの負担に属する必要費を支出したときは、Ａに対しその償還を請求することができるが、②では、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。

【答え】正しい

【解説】
宅建過去問平成27年（2015年）問3-2：賃貸借と使用貸借の必要費の費用負担の対比表です。.jpg
＜①賃貸借契約＞
建物賃貸借における必要費は、貸主Ａが負担します。つまり、貸主Ａが必要費を支払う義務があります。

＜②使用貸借契約＞
使用貸借における必要費は、借主Ｂが負担します。必要費とは、物の保存または管理に必要な費用です。例えば、屋根が壊れたときの修繕費用です。では、なぜ、必要費について賃貸借と使用貸借でルールが異なるのか？この点は理解すべき部分なので、個別指導で解説します！無料講座でも、理解ポイントの一部を解説しているので、ぜひ、ご利用ください！

選択肢３ＡＢ問で、Ａを貸主、Ｂを借主として、Ａ所有の甲建物につき、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合について、ＡＢ間の契約は、①も②も諾成契約である。（改）

【答え】正しい

【解説】
宅建過去問平成27年（2015年）問3-3：賃貸借契約も使用貸借契約も諾成契約であることを示した表です。要物けいやくではありません。.jpg
賃貸借契約も使用貸借契約も、当事者の合意のみで成立する諾成契約です（引き渡しは要件ではない）。これは、条文からも分かります。「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生じます。」「使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。」いずれも、契約成立の要件として、引き渡しを必要としていません。
一方、契約成立の要件として引き渡しが必要なものを要物契約といいます。この違いはしっかり覚えておきましょう！覚えるべき部分は、個別指導で解説します！無料講座でも、理解ポイントの一部を解説しているので、ぜひ、ご利用ください！

選択肢４ＡＢ問で、Ａを貸主、Ｂを借主として、Ａ所有の甲建物につき、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合について、ＡはＢに対して、甲建物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないとき、①では担保責任を負う場合があるが、②では担保責任を負わない。（改）

【答え】誤り

【解説】

＜①賃貸借契約＞
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約束することによって、その効力を生じます。つまり、賃貸借契約は、賃料を払う必要があるので有償契約です。そのため、売買契約のルールが準用されます（使われます）。したがって、賃貸人は賃借人に対し、担保責任を負います。よって、「①では担保責任を負う場合がある」という部分は正しい記述です。

＜②使用貸借契約＞
使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約束することによって、その効力を生じます。つまり、使用貸借は無料で使えることができる契約なので、無償契約です。そのため、贈与契約のルールが準用されます（使われます）。贈与契約でも、担保責任を負いますが、ただし、贈与の目的物を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡すことを約束したと推定されるので、目的物が特定された状態で引渡せばよいです。売買よりも責任が軽減されるだけで、担保責任を負わないわけではないです。したがって、本問の「 ②使用貸借では担保責任を負わない」と言う記述は誤りです。