選択肢ア 宅建業者Ａは、宅建業者でないＢとの間における建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を480万円とし、かつ、違約金の額を240万円とする特約を定めた。この場合、当該特約は全体として無効となる。 

【答え】誤り

【解説】
売主が宅建業者で、買主が宅建業者でない場合、損害賠償額の予定等の制限については、違約金と損害賠償額の合計で計算し、代金の２割を超えて特約してはいけません。もし、２割を超えて特約した場合、超えた分についてのみ無効となります。（注意点）全てが無効となるわけではありません。本問は、代金が2400万円なので、この2割は480万円です。したがて、480万円を超える部分である240万円分についてのみ無効となります。よって、本肢は「特約は全体として無効」が誤りです。

選択肢イ 宅建業者Ａは、宅建業者でないＢとの間における建物の売買契約の締結の際、原則として480万円を超える手付金を受領することができない。ただし、あらかじめＢの承諾を得た場合に限り、720万円を限度として、480万円を超える手付金を受領することができる。 

【答え】誤り

【解説】
売主が宅建業者で、買主が宅建業者でない場合、売主業者が受領できる手付金額は代金の10分の2が限度です（これを「手付金額の制限」という）。本肢の場合、代金は2400万円なので、10分の2（2割）は、480万円です。つまり、売主業者Ａが受領できる手付金額は480万円が限度です。買主が承諾をしたとしても、480万円（代金の2割）を超える手付金を受領することは許されません。よって、本肢は誤りです。

選択肢ウ 宅建業者Ａが宅建業者でないＢとの間で締結する売買契約の目的物たる建物が未完成であり、ＡからＢに所有権の移転登記がなされていない場合において、手付金の額が120万円以下であるときは、Ａは手付金の保全措置を講じることなく手付金を受領することができる。 

【答え】正しい

【解説】
売主が宅建業者で、買主が宅建業者でない場合、取引対象物が未完成物件のとき、原則、手付金等の保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはいけません。ただし、下記2つのいずれかに該当するときは、例外として、保全措置を講じることなく買主から手付金等を受領できます。

1. 手付金や中間金の額の合計が、代金の5％以下の場合、かつ、1000万円以下の場合
2. 買主へ所有権移転登記をした場合

本肢は、代金が2,400万円なので、代金の5％は120万円です。つまり、120万円以下の手付金であれば、上記例外1に該当するので、保全措置は不要です。 

まとめ 本肢は、宅建業法の8種制限に関する問題ですが、すべて重要な内容です。きちんとルールを頭に入れた上で解けるようにしておきましょう！