選択肢１ Ａ所有の甲土地につき、令和2年10月1日にＢとの間で賃貸借契約（本件契約）が締結された。Ａが甲土地につき、本件契約とは別に、令和2年9月1日にＣとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもＣとの契約が優先する。 

【答え】誤り

【解説】
本肢は、Ａが甲土地をＢとＣの二者に賃貸しています。この場合、先に対抗要件を備えたほうが優先します（勝ちます）。
■ＡＢ間の賃貸借
資材置場目的の土地の賃貸借なので、民法が適用され、土地の賃借権の登記が対抗要件です。本肢については、登記を備えているかどうかの記述がないため、対抗要件を備えているかどうかが分かりません。
■ＡＣ間の賃貸借
建物所有目的の土地の賃貸借なので、借地借家法が適用され、建物の登記もしくは土地の賃借権の登記が対抗要件です。
そして、本肢は、問題文から登記を備えているかどうか等の記述がないので、どちらが優先するか分からない状況です。したがって、本件契約よりもＣとの契約が優先するとは判断できないので誤りです。  

選択肢２ Ａ所有の甲土地につき、令和2年10月1日にＢとの間で賃貸借契約（本件契約）が締結された。賃借権の存続期間を10年と定めた場合、本件契約が居住の用に供する建物を所有することを目的とするものであるときは存続期間が30年となるのに対し、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは存続期間は10年である。 

【答え】正しい

【解説】
ＡＢ間の土地の賃貸借は建物所有目的なので、借地借家法が適用され、存続期間は30年以上で定めなければならず、これより短く設定しても30年と延長されます。本肢のように、10年と定めれば、30年に延長されるので、前半部分は正しいです。
一方、ＡＣ間の土地の賃貸借は資材置場目的なので、民法が適用され、存続期間は50年以下で定めなければならず。これより長く設定しても50年に短縮されます。本肢のように、存続期間を10年とすれば、そのまま10年となります。したがって、後半部分も正しいです。よって、本問は正しいです。  

選択肢３ Ａ所有の甲土地につき、令和2年10月1日にＢとの間で賃貸借契約（本件契約）が締結された。本件契約が建物所有を目的として存続期間60年とし、賃料につき３年ごとに１％ずつ増額する旨を公正証書で定めたものである場合、社会情勢の変化により賃料が不相当となったときであっても、ＡもＢも期間満了まで賃料の増減額請求をすることができない。 

【答え】誤り

【解説】
ＡＢ間の土地の賃貸借は建物所有目的なので、借地借家法が適用されます。よって、一定期間後に増額する旨の定め（スライド条項という）は有効です。 一方、減額できない旨の定めは、周りの地価が下がっているにも関わらず、減額できないのは、賃借人に不利になるので無効です。  本肢は「増減額請求をすることができない」となっており、「増額請求も減額請求もできない」となっています。増額請求はできるので、誤りです。

選択肢４ Ａ所有の甲土地につき、令和2年10月1日にＢとの間で賃貸借契約（本件契約）が締結された。本件契約が建物所有を目的としている場合、契約の更新がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を定めるには、ＡはあらかじめＢに対してその旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。 

【答え】誤り

【解説】
契約更新がない建物所有目的の土地の賃貸借なので、定期借地権と検討を付けます。定期借地権には、①一般定期借地権、②事業用借地権、③建物譲渡特約付き借地権があります。すべての定期借地権について、説明は不要です。 したがって、本肢は誤りです。 本問は関連ポイントがあるので、個別指導で解説します！

まとめ 借地権に関する問題は、条文自体、少ないため出題される部分が限られています。そして、毎年出題されるので、得点したい分野です。本問の内容もすべて基本事項ばかりなので必ず解けるようにしておきましょう！