選択肢１ ＡとＢとの間でＡ所有の甲建物をＢに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約（以下この問において「本件契約」という。）を締結し、Ｂが甲建物の引渡しを受けた。
ＡがＣに甲建物を売却した場合、Ｂは、それまでに契約期間中の賃料全額をＡに前払いしていたことを、Ｃに対抗することができる。 

【答え】正しい

【解説】

上図のように、賃貸人Ａが賃借物を第三者Ｃに売却した場合、賃借人Ｂが賃貸人Ａに賃料を前払いしていた場合、賃料をま新所有者Ｃに引き継がれます。つまり、賃借人Ｂは新所有者Ｃに、「賃料を前払いしていること」を主張（対抗）できます。
よって、正しいです。

選択肢２ ＡとＢとの間でＡ所有の甲建物をＢに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約（以下この問において「本件契約」という。）を締結し、Ｂが甲建物の引渡しを受けた。
本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料改定に関する特約がない場合、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、ＡはＢに対し、賃料増額請求をすることができる。 

【答え】正しい

【解説】

定期建物賃貸借契約では、借賃を増額しない旨の特約、および借賃を減額しない特約はともに有効です。ただし、特約がなければ、原則に従うため、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、当事者双方から借賃の増額請求および減額請求ができます。

選択肢３ ＡとＢとの間でＡ所有の甲建物をＢに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約（以下この問において「本件契約」という。）を締結し、Ｂが甲建物の引渡しを受けた。
本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約である場合、Ａは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があれば、Ｂに対し、解約を申し入れ、申入れの日から1月を経過することによって、本件契約を終了させることができる。 

【答え】誤り

【解説】
定期建物賃貸借契約では、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があり、借りている建物を使い続けることができなくなった場合には、賃借人は存続期間の途中であっても解約の申入れをすることができます（中途解約が可能）。これは、賃借人から解約の申し入れができるルールであり、賃貸人から解約の申し入れはできないので注意しましょう。よって、本肢は「賃貸人Ａから賃借人Ｂに対して解約を申し入れ、解除できる」となっているので、本肢は誤りです。

選択肢４ ＡとＢとの間でＡ所有の甲建物をＢに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約（以下この問において「本件契約」という。）を締結し、Ｂが甲建物の引渡しを受けた。
本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求に関する特約がない場合、期間満了で本件契約が終了するときに、Ｂは、Ａの同意を得て甲建物に付加した造作について買取請求をすることができる。 

【答え】正しい

【解説】
建物賃貸借では、建物に賃貸人の同意を得て付加した造作がある場合、賃貸借契約の終了時に、賃貸人に対しその造作を時価で買い取るよう請求（造作買取請求権）できます。この造作買取請求権は特約で排除することができます。つまり、「賃借人は造作買取請求はできない」旨の特約も有効です。そして、本肢は、「造作買取請求に関する特約がない場合」なので、造作買取請求が可能です。ちなみに、「時価」とは、その時々の造作の値段のことです。現在売買すると考えた場合の値段とも言えます。

まとめ 本問は、選択肢１が普通建物賃貸借で、選択肢２～４は定期建物賃貸借の内容です。この２つの違いは理解した上で、各選択肢のルールを暗記していきましょう！