選択肢１ Ａは、隣人Ｂの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたＢ宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Ｂからの依頼なくＢ宅の屋根を修理した。 Ａは、Ｂに対して、特段の事情がない限り、Ｂ宅の屋根を修理したことについて報酬を請求することができない。 

【答え】正しい

【解説】
＜事務管理とは？＞
事務管理とは、法律上の義務がない者が、他人のために他人の事務の管理を行うことを言います。例えば、本問のように、Ａは、隣人Ｂ宅の屋根の修理をする義務はありません。しかし、屋根が壊れた状況だと、雨が降りこんで家財に大きな被害が生じるため、屋根を修理してあげています。これが事務管理です。
＜本肢＞
事務管理者は、事務管理を行ったとしても、本人に報酬を請求することはできません。 つまり、本肢の事例でいうと、事務管理者Ａは、Ｂに報酬（仕事の対価）を請求することができません。本肢は注意点があるので、個別指導で解説します。

選択肢２ Ａは、隣人Ｂの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたＢ宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Ｂからの依頼なくＢ宅の屋根を修理した。 Ａは、Ｂからの請求があったときには、いつでも、本件事務処理の状況をＢに報告しなければならない。 

【答え】正しい

【解説】
事務管理者の報告義務は、委任契約の受任者の報告義務が準用される（使われる）ので、事務処理中は、本人から請求がある時に限り、事務管理者は処理状況を報告しなければなりません。 よって、本肢は正しいです。逆を言えば、本院からの請求がなければ、事務管理者は報告する必要はありません。

選択肢３ Ａは、隣人Ｂの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたＢ宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Ｂからの依頼なくＢ宅の屋根を修理した。 Ａは、Ｂ宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。 

【答え】誤り

【解説】
本肢は「差し迫った事情がある場合、善管注意義務までは負わない」という記述が誤りです。 事務管理者Ａは、本人Ｂの財産に甚大な被害が発生する差し迫った事情があるため、事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失がある場合のみ損害賠償責任を負います。 そもそも、事務管理者Ａは、好意で、隣人Ｂの屋根の修理を行っています。そのため、多少過失があったとしても、損害賠償債務は負わなくてもよいということです。本肢は、対比勉強法を使って暗記すると効率的です！そのため、個別指導では対比ポイントも含めて解説します！

選択肢４ Ａは、隣人Ｂの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたＢ宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Ｂからの依頼なくＢ宅の屋根を修理した。 ＡによるＢ宅の屋根の修理が、Ｂの意思に反することなく行われた場合、ＡはＢに対し、Ａが支出した有益な費用全額の償還を請求することができる。 

【答え】正しい

【解説】
事務管理者Ａは、本人Ｂの意思に反することなく、本人Ｂのために有益な費用を支出したときは、本人Ｂに対し、その償還を請求することができます。 本肢の事例で、「Ｂの意思に反することなく行われた」というのは、ＢがＡの屋根の修理について納得している場合を指します。この場合、Ａは、有益費について本人Ｂに請求することができます。 本肢は上記解説だけだとイメージしにくいと思うので、個別指導では、イメージ勉強法を使って解説します！

まとめ 事務管理については、あまり出題されないですが、委任契約に似ているので、今後出題されてもおかしくありません。民法697条～702条の合計6条しかないので、一度条文を確認しておくとよいでしょう。