選択肢１ 青信号で横断歩道を歩いていたＡが、赤信号を無視した自動車にはねられてケガをした。運転者はＢに雇用されていて、勤務時間中、仕事のために自動車を運転していた。Ａが治療費として病院に支払った50万円の支払いをＢに対して求める場合。

【答え】契約に基づいて発生するものではない

【解説】
本誌の場合、ＡＢ間で何の契約もしていません。運転者がＡを車でひいてしまったことにより、運転者は不法行為に基づく損害賠償債務を負い、また、運転者を雇っていたＢも使用者責任に基づいて損害賠償債務を負うこととなっています。したがって、ＡがＢに対して有する損害賠償請求権は、不法行為に基づいて発生するものであり、ＡＢ間の契約に基づいて発生するものではないです。

選択肢２ Ａは、Ｂ所有の甲不動産の売却について、売買契約が締結されるに至った場合には売買代金の２％の報酬の支払いを受けるとして、Ｂから買主のあっせんの依頼を受けた。Ａがあっせんした買主Ｃとの間で1,000万円の売買契約が成立したのでＡがＢに対して報酬として20万円の支払いを求める場合。

【答え】契約に基づいて発生する

【解説】
ＡがＢに対して報酬を請求する場合、ＡＢ間で、報酬契約を締結しておく必要があります。もし、Ａが宅建業者であるならば、ＡＢ間で媒介契約を締結し、ＡがＢに対して媒介契約に基づいて、報酬として20万円の支払いを求めることができます。よって、本肢は、契約に基づいて発生するものといえます。

選択肢３ Ｂは、Ｂ所有の乙不動産をＡに売却し、代金1,000万円の受領と同時に登記を移転して引渡しも終えていた。しかし、Ｂは、錯誤を理由に売買契約を取り消して、乙不動産を返還し、登記を戻すようにＡに求めた。これに対し、ＡがＢに対して、1,000万円（代金相当額）の返還を求める場合。

【答え】契約に基づいて発生するものではない。

【解説】

ＡＢ間の売買契約は錯誤取消しによって、お互いが原状回復義務を負います。そして、取消しをした時点で、登記は買主Ａに移転されており、不動産も買主Ａに引き渡されています。また、代金は売主Ｂに支払われています。そのため、取り消しがあると、買主Ａは「登記を戻す義務」と「不動産の返還義務」を負います。一方、売主Ｂは売買代金の返還義務を負います。
この義務は、契約して発生したものではなく、錯誤取消しによって、当然に生じる義務です。

選択肢４ ＢはＤに200万円の借金があり、その返済に困っているのを見かねたＡが、Ｂから頼まれたわけではないが、Ｂに代わってＤに対して借金の返済を行った。Ｂの意思に反する弁済ではないとして、ＡがＤに支払った200万円につき、ＡがＢに対して支払いを求める場合。

【答え】契約に基づいて発生するものではない。

【解説】

「ＢはＤに200万円の借金があり」という記述から、ＢＤ間は金銭消費貸借契約（貸金契約）を結んでいたと考えれます。それに対して、Ｂがお金を返さないため、Ａが代わりに弁済したわけです（代位弁済という）。 そして、代位弁済をすると、Ｄが有していた貸金債権が当然に第三者Ａに移転し、Ａは当然にＢに対して２００万円の返還請求ができるようになります（代位弁済による求償）。 つまり、ＡＢ間で何らの契約もなく、代位弁済をすることで当然に求償の権利を取得します。 

まとめ この問題は、どのような原因に基づいて権利が発生しているかを問う問題です。丸暗記勉強法を使っている方は、少し戸惑ったかもしれません。理解をしていれば、非常に簡単な内容なので、得点できた問題でしょう。こういった基本的な問題だけれども、角度を変えて出題された場合、合否の分かれ目となるので、しっかり理解学習を実践していきましょう！！