選択肢１ ＡがＢと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をＢに提供しなかった場合、Ｂが契約を締結したことにより被った損害につき、Ａは、不法行為による賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。

【答え】正しい

【解説】
債務不履行とは、契約によって約束した義務を果たさないこと（守らないこと）をいいます。例えば、Ａが建物の売主として、買主Ｂと、建物の売買契約を締結したとします。しかし、当該建物は、屋根裏がシロアリに喰われていて、売主Aは、その事実を知っているにも関わらず、買主Bに伝えていなかった。この場合、Ａは建物を引渡したとしても、契約不適合責任（債務不履行）を理由にＢに対して損害賠償責任を負います。また、一方で、売主Ａが必要な情報を提供しなかったことは不法行為に該当するので、そのことで生じた損害については賠償責任を負います。よって、本肢は正しいです。債務不履行による損害賠償請求であっても、不法行為に基づく損害賠償請求であっても、損害額は決まっているので、その範囲内で請求する形になります。2倍もらえるわけではないので注意しましょう。少し理解すべき部分まで解説しましたが、無料講座でもこのように理解学習の一部を解説しています。理解学習こそ宅建合格の秘訣なので、ぜひ、無料講座に参加して理解学習を実践していきましょう！

選択肢２ ＡＢ間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Ｂが債務不履行に陥ったことによりＡがＢに対して請求することができる遅延損害金は、法定利率により算出する。（改正民法に伴い問題文を一部変更）

【答え】正しい

【解説】
金銭消費貸借契約とは、お金の貸し借りの契約のことです。貸金契約とも言います。そして、個人間において金銭消費貸借契約で、利率に関する定めがない場合は、その遅延損害金の利率は、法定利率の年３分（３％）となります。よって、本肢は正しいです。

選択肢３ ＡＢ間でＢ所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Ｂが甲不動産をＣに二重譲渡してＣが登記を具備した場合、ＡはＢに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。

【答え】正しい

【解説】

問題文の状況は、上図の通りです。売主Ｂが買主Ａに売り渡した後に、さらに買主Ｃにも売り渡した場合、重譲渡となります。そして、買主Ｃに対して所有権移転登記をした場合、買主に対して所有権移転登記ができなくなるので、ＢはＡに対して履行不能（債務不履行）となります。したがって、買主Ａは売主Ｂに対して債務不履行に基づく損害賠償請求ができます。よって、本肢は正しいです。

選択肢４ ＡＢ間の金銭消費貸借契約において、借主Ｂは当該契約に基づく金銭の返済をＣからＢに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった（Ｂの責めに帰すべき事由はない｡）ため、返済期限が経過してしまった場合、Ｂは債務不履行には陥らず、Ａに対して遅延損害金の支払義務を負わない。

【答え】誤り

【解説】

債務不履行は、原則、債務者の責めに帰する事由によることが要件です。つまり、債務者の過失により約束を守れなかった場合に債務不履行が成立します。しかし、金銭債務の場合は、債務者の責めに帰する事由か否かにかかわらず（過失の有無にかかわらず）約束を守れなかった場合、債務不履行となります。つまり、本肢のように、借主Ｂの責任ではない理由で、貸主Ａに返済できなかった場合でも、借主Ｂは債務不履行となります。したがって、「Ｂは債務不履行には陥らず、Ａに対して遅延損害金の支払義務を負わない」という記述は誤りで、正しくは、「Ｂは債務不履行には陥り、Ａに対して遅延損害金の支払義務を負う」となります。

まとめ 本問は債務不履行に関する問題ですが、すべて基本問題です。得点すべき問題です。きちんと理解しておきましょう！