選択肢１ 倒壊しそうなＡ所有の建物や工作物について、Ａが倒壊防止の措置をとらないため、Ａの隣に住むＢがＡのために最小限度の緊急措置をとったとしても、Ａの承諾がなければ、Ｂはその費用をＡに請求することはできない。

【答え】誤り

【解説】
建物の破損、腐蝕等により住めない場合、あるいは居住に著しい支障を生ずる場合、賃借人は、賃貸人の修繕義務の不履行を理由に、賃料全部の支払を拒むことができます。
逆を言えば、上記のようなひどい状況でないならば、賃料の全額について、支払いを拒むことはできません（判例）。
ちょっとした修繕費用を賃貸人が支払わないだけで、賃料全部を払わなくてよい、とするのは、賃貸人が不利すぎるからです。

選択肢２ 建物所有を目的とする借地人は、特段の事情がない限り、建物建築時に土地に石垣や擁壁の設置、盛土や杭打ち等の変形加工をするには、必ず賃貸人の承諾を得なければならない。

【答え】誤り

【解説】
建物所有を目的とする借地人は、建物所有を目的とした土地の利用を許されています。そのため、建物を建築する際に石垣や擁壁の設置、盛土や杭打ち等の変形加工をすることも、当然に許されています。したがって、それらの行為をするにあたり、賃貸人の承諾を得る必要はありません。

選択肢３ 建物の賃貸人が必要な修繕義務を履行しない場合、賃借人は目的物の使用収益に関係なく賃料全額の支払を拒絶することができる。

【答え】誤り

【解説】
まず、建物賃貸人は、賃借人が建物を使用できるように修繕義務を負います。一方、建物賃借人は、賃貸人に対して賃料の支払い義務を負います。したがって、賃貸人が修繕義務を履行しないことにより、建物（目的物）を全く使用収益できない場合、賃借人は、賃料全額の支払いを拒絶することができます（大判大10.09.26）。一方、建物を一部だけ使用収益できないのであれば、その部分についての賃料分のみを支払い拒絶できます。つまり、一部使えるのであれば、その部分についての賃料は支払う必要があるということです。よって、本肢は「目的物の使用収益に関係なく賃料全額の支払を拒絶することができる」という部分が誤りです。

選択肢４ 建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできない。

【答え】正しい

【解説】
賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするとき、賃借人は、賃貸人の保存行為を拒むことができません。 例えば、台風で屋根が壊れて雨漏りが発生している場合に、賃貸人が修繕をしようとしている場合、賃借人は、修繕しないください！と拒むことはできません。たとえ、２階の一部が使用できなくなる場合であっても、賃借人はこの修繕工事を拒むことできないです。 このように具体例を使って勉強する方法が理解学習です！個別指導では、色々な分野で理解学習を実践できるようにしています！理解学習の一部は、無料講座でも勉強できますので、参考にしてみてください！

まとめ 本問は判例についての選択肢も含んでいますが、一般常識的に考えれば解ける問題ともいえます。あとは、ひっかけ問題にひっかからないことです！ひっかけ問題は、理解学習をすれば、対策できるので、宅建合格を目指すのであれば、理解学習を実践していきましょう！