選択肢１ 賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間５年として「定期借家契約を締結する場合と、期間５年として普通借家契約を締結する場合に関する問題です。
賃借権の登記をしない限り賃借人は賃借権を第三者に対抗することができない旨の特約を定めた場合、定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該特約は無効である。

【答え】正しい

【解説】

普通建物賃貸借（普通借家契約）でも定期建物賃貸借（定期借家契約）でも、建物賃借権の対抗要件は、 賃借権の登記又は建物の引渡しです。 つまり、建物賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後、その建物について物権を取得した者に対し、対抗できます。 これに反する特約で建物の賃借人や転借人に不利なものは無効です。 ここで、本肢を見ると「賃借権の登記をしない限り賃借人は賃借権を第三者に対抗することができない旨の特約」を定めています。 これは、上記の対抗要件よりも、賃借人にとって不利なので、無効です。 これは、定期借家契約でも、普通借家契約でも、同じです。

選択肢２ 賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間５年として「定期借家契約を締結する場合と、期間５年として普通借家契約を締結する場合に関する問題です。
賃貸借契約開始から３年間は賃料を増額しない旨の特約を定めた場合、定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該特約は無効である。

【答え】誤り

【解説】

普通借家契約（普通建物賃貸借）でも定期借家契約（定期建物賃貸借）でも、賃料を増額しない旨の特約（不増額特約）は、有効です。 したがって、本肢は正しいです。 注意が必要なのは「賃料を減額できない旨」の特約です。 普通借家契約では、借主に不利となる減額請求を排除する特約は無効ですが、定期借家契約の場合、減額請求を排除する特約も有効です。 これらをまとめた表は上記の通りですが、理解しないと本試験で忘れてしまいます。 そのため理解して頭に入れておきましょう。 理解すべき部分は個別指導で解説します！ 無料講座でも、理解部分の一部を解説しているので、ぜひ、ご利用ください！

選択肢３ 賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間５年として「定期借家契約を締結する場合と、期間５年として普通借家契約を締結する場合に関する問題です。
期間満了により賃貸借契約が終了する際に賃借人は造作買取請求をすることができない旨の規定は、定期借家契約では有効であるが、普通借家契約では無効である。

【答え】誤り

【解説】

普通借家契約でも定期借家契約でも、造作買取請求権は特約で排除できます。 つまり、「賃借人は造作買取請求ができない」旨の特約をしても有効です。 対比ポイントとして、建物買取請求権は、特約によって排除することができません。 この点は理解したら、頭に定着しやすいので丸暗記ではなく、理解しておきましょう！ 理解すべき部分は個別指導で解説します！

選択肢４ 賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間５年として「定期借家契約を締結する場合と、期間５年として普通借家契約を締結する場合に関する問題です。
賃貸人も賃借人も契約期間中の中途解約をすることができない旨の規定は、定期借家契約では有効であるが、普通借家契約では無効である。 

【答え】誤り

【解説】
結論からいうと、本肢は「賃借人も契約期間中の中途解約をすることができない旨の規定は、定期借家契約では有効」という記述が誤りです。正しくは、「賃借人は契約期間中の中途解約をすることができない旨の規定は、定期借家契約では無効」です。

＜普通借家契約＞
存続期間を定めがある場合、原則として、契約期間内に中途解約することはできません。ただし、特約で「中途解約できる旨」が付けることは可能です。したがって、原則、中途解約できないのだから、特約で「中途解約できない旨」を付けても意味はありませんが、有効です。

＜定期借家契約＞
定期借家契約も、原則、契約期間内に中途解約することはできません。ただし、例外があり、下記２つの要件を同時に満たせば、賃借人から中途解約ができます。

1. 床面積200㎡未満の建物である
2. 転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった

上記２つを満たす場合、賃借人は中途解約でき、特約で「中途解約できないこと」とすることはできません。よって、本肢は誤りです。

まとめ 賃貸借については、対比すべき内容が非常にたくさんあるので、表を使いながら整理をし、理解すべき部分は理解をして頭に入れておきましょう！単に表だけを覚えるのは難しいですし、本試験で頭が真っ白になって失点します。そのため、理解すべき部分は理解をしましょう。