選択肢１ 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から１年を経過した時までは、時効は完成しない旨 

【答え】規定されている

【解説】
 当事者間で、協議を行う旨を書面で合意した場合、下記の中で一番早くに到達する期間までは時効は完成しません（民法151条１項）。

1. 合意があった時から１年間
2. 協議する期間を１年未満で定めた場合はその期間
3. 当事者の一方が協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときはその通知から６ヶ月経過した時

本肢は、1の内容です。よって、民法の条文に規定されています。つまり、どれか一つでも過ぎてしまって、時効期間が満了していれば、時効は完成するということです。  

選択肢２ 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を自由に通行することができる旨 

【答え】規定されていない

【解説】
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができ、 通行の場所と方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ぶ必要があります（民法211条1項） 。したがって、本肢は、囲んでいる土地を「自由に」通行することはできません。 よって、本肢の内容は、民法の条文に規定されていません。

選択肢３ 売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う旨 

【答え】規定されている

【解説】
売主は、所有権を相手方に移転登記をして対抗要件を備えさせる義務を負っています（民法555条、560条）。  不動産の売買であれば、売買契約締結後、売主は買主に所有権移転する義務を負うという事です。よって、本肢は、民法の条文に規定されています。

選択肢４ 賃借人の原状回復義務の対象となる損傷からは、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化を除く旨 

【答え】規定されている

【解説】
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷（通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。）がある場合、原則、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負います（民法621条本文）。
「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化」とは「通常損耗」と呼ばれるもので、オーナー（賃貸人）が負担することになっています。賃借人は負担しなくてよいです。

まとめ 本問は、条文に規定されているか否かの問題で、近年、この形式での問題は出題されていません。しかし、内容としては、基本問題なので、解けるようにしておきましょう。