選択肢１ ＡＢ間の建物の売買契約において、Ｂが当該契約の履行に着手した後においては、Ａは、契約の締結に際してＢから受領した手付金の倍額をＢに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。 

【答え】正しい

【解説】
本肢は、解約手付に関する問題です。解約手付のルールでは、「相手方が履行に着手したら、それ以後、手付解除はできない」と規定しています。本肢の場合、買主Ｂが当該契約の履行に着手しているので、相手方である売主Ａは手付解除ができません。よって、売主Ａは、Ｂから受領した手付金の倍額をＢに現実に提供したとしても、契約を解除（手付解除）することはできません。よって、正しいです。「履行に着手する」という用語については個別指導で解説します！

選択肢２ ＡＢ間の建物の売買契約における「法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、当該契約の締結に際しＡがＢから受領した手付金は返還しない」旨の特約は有効である。 

【答え】誤り

【解説】
本肢は売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合なので、８種制限（クーリングオフ）が適用されます。宅建業法上、クーリングオフによる解除が行われた場合、宅建業者（売主）は、受領した手付金その他の金銭を速やかに返還しなければなりません。よって、本肢のように「クーリングオフによる解除の際に、宅建業者Ａが手付金を返還しない」旨の特約は、上記宅建業法のルールより買主に不利な特約なので、無効となります。

選択肢３ ＡＢ間の建物の割賦販売の契約において、Ｂからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Ａは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる。 

【答え】誤り

【解説】
本肢は売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合なので、８種制限（割賦販売契約の解除等の制限）が適用されます。割賦販売において、買主が割賦金（分割のお金）の支払いをしない場合、売主業者は30日以上の期間を定めて書面で催告し、その間に履行されなければ、契約解除や残代金の一括請求ができます。そして、これに反する特約は無効となります。本肢は「支払期日までに支払われなかった場合、Ａは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる」となっているので誤りです。直ちに解除することはできません。解除するのであれば、30日以上の期間を定めて書面で催告する手続きが必要です。

選択肢４ ＡＢ間で工事の完了前に当該工事に係る建物（代金5,000万円）の売買契約を締結する場合、Ａは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Ｂから200万円の手付金を受領してはならない。 

【答え】誤り

【解説】
本肢は売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合なので、８種制限（手付金等の保全措置）が適用されます。手付金等の保全措置では、工事完了前の物件（未完成物件）の場合、代金の5％を超える手付金等を受領する場合、事前に保全措置が必要としています。本肢の場合、5000万円の5％は250万円です。よって、200万円の手付金を受領する場合、5％を超えていないので、手付金等の保全措置は不要です。よって、保全措置を講じた後でなくても200万円の手付金を受領できます。よって、本肢は誤りです。

まとめ 本肢は８種制限についての問題ですが、８種制限が適用されるのは、売主が宅建業者で、かつ、買主が非宅建業者の場合です。この点は問題で必ず確認しましょう。これを見逃すとひっかけ問題に引っかかる可能性が出てきます。注意しましょう！